決算特別委員会まちづくり分科会の建設緑政局に関連する審査でのご報告

令和7年9月25日10時より、川崎市議会・決算特別委員会まちづくり分科会(建設緑政局関連)の審査が行われ、私からは以下の2つのテーマについて質問を行いました。
- 墓地整備事業特別会計について
- 公園施設長寿命化事業について
決算特別委員会は、市が前年度に執行した予算の使い方が適切であったかを検証する重要な場です。市民生活に直結するテーマを取り上げ、市の現状や課題を確認するとともに、今後の改善に向けて質疑を行いました。
決算特別委員会とは
川崎市議会の決算特別委員会は、前年度に市が執行した予算について、その使い方が適切であったかを審査する委員会です。各分野ごとに「分科会」が設けられ、教育、福祉、まちづくりなどのテーマに分かれて議論が行われます。議員は決められた持ち時間の中で質疑を行い、事業の効果や課題を明らかにし、翌年度以降の改善につなげることを目的としています。
墓地整備事業特別会計について
まず取り上げたのは「墓地整備事業特別会計」です。歳入約5億3,000万円に対し、歳出は約3億8,800万円にとどまり、約1億4,100万円の差額が生じていることから、私は理由を質しました。

歳入決算額と歳出決算額に大きな差がある理由は?
早野聖地公園の次期整備区域で用地買収を予定していたが、地権者の意向により当該年度の買収を行わなかったため残額が生じた、との答弁でした。
私は次に、墓じまいの増加に伴う循環的な墓地利用について質問しました。本市においても墓じまいは増加傾向にあり、令和4年度227件、令和5年度249件、令和6年度は291件と、年々増えています。墓じまいで空いた区画は再整備により新規利用が可能となり、使用料などの新たな歳入にもつながります。

墓じまいによる循環的利用を踏まえ、緑ヶ丘霊園で予定されていた整備の進捗は?
緑ヶ丘霊園では小区画一般墓所を6カ所整備予定で、令和3年度から整備を開始し、令和5年度までに4カ所を完了。残り2カ所については令和6年度から設計を進めており、今年度以降に整備を進めるとの答弁でした。
整備が当初計画からやや遅れた点は確認しましたが、利用者利便の向上につながる取組であるため、着実な推進を求めました。さらに、令和6年度決算でも剰余金が発生しており、十分に資金が活用されていない状況が見受けられます。そこで、整備計画で示された「公園機能の充実」「緑地機能の強化」に資金を充て、市民サービスへ一層還元すべきと指摘しました。

剰余金を今後どのように活用していくのか?
墓地整備事業特別会計は、新規整備墓地の使用料を次期整備費に充て、安定的な墓地提供を行うことを目的に設置している。今後も安定的な墓地提供を進めるとともに、新たな整備では公園機能の充実にも配慮していく、との答弁でした。
意見・要望
墓じまい増加や循環利用で新たな収益が生じている現状を踏まえれば、その収益を積極的に市民サービスに還元すべきです。他の特別会計、たとえば競輪事業特別会計では収益を一般会計に繰り出し、公共サービスに活用している事例もあります。墓地整備事業においても同様の仕組みを検討し、指定管理料の抑制や市民サービス向上につなげるべきと要望しました。

公園施設長寿命化事業について
次に、公園施設長寿命化事業を取り上げました。予算額約4億9,900万円に対し、決算額は約2億7,300万円、執行率は54%と低水準にとどまっています。

執行率が低かった理由は?
遊具更新工事において利用者との調整に時間を要したことによる翌年度繰越、また国の交付金認証減による工事費減が要因との答弁でした。
続いて、遊具更新の進捗について確認しました。川崎市公園施設長寿命化計画では、全4,102基のうち1,996基を補修・更新対象とし、10年間で年間190基ずつ更新する計画でした。しかし、昨年度は53基の更新にとどまり、目標達成率は約27%でした。

現時点での補修・更新対象施設の割合は?
令和6年度末時点で補修・更新対象は2,190基。そのうち1,776基の更新が完了し、残り414基が未対応。割合は約10%との答弁でした。
計画期間中に新たに対象となった施設もあり、当初より対象数は増加しました。目標値(12%)を下回ったとはいえ、未対応が220基残っていることは課題です。

計画終了後の来年度以降、どのような方針で安全確保を進めるのか?
安全確保と機能保全のため、遊具更新の進捗や施設の老朽化状況を踏まえ、現計画の取り扱いや次期計画について検討するとの答弁でした。
私は、公園は子どもの育ちや地域の憩いに欠かせない存在であり、安心・安全な遊具環境を確保し続けることが重要だと強調しました。さらに、市民から多く寄せられている「夏場の遊具の暑さ」についても取り上げました。

猛暑時に遊具が熱くなり使用できない問題への対応は?
他都市の事例を参考に、遊具の温度上昇を抑える手法や注意喚起について調査・研究を進めるとの答弁でした。
意見・要望
これまでの計画で一定の進捗はありましたが、未対応の遊具が残ることは市民の安全に直結する課題です。計画終了後も着実に次期計画を策定し、更新を進めるよう要望しました。また、夏場の遊具の暑さ対策については、特殊塗料やステッカーなど他都市の工夫を積極的に取り入れ、安心して遊べる環境整備を強く求めました。
全体まとめ
今回の質疑では、墓地整備事業特別会計と公園施設長寿命化事業を取り上げました。いずれも剰余金や低い執行率など「予算が十分に活かされていない現状」が見えてきました。市民の暮らしや安全に直結する事業だからこそ、資源を有効に活用し、安心して暮らせるまちづくりへとつなげていくことが必要です。
今後も、予算の使い方を丁寧に検証し、市民サービスの質向上につながるよう注視してまいります。