【予算審査特別委員会】公的施設の「災害時の備え」は十分? ―こども文化センター・老人いこいの家の実態―

令和8年予算審査特別委員会において、市民が日常的に利用し、一定時間滞在する公的施設(こども文化センター、老人いこいの家)の災害時備蓄について取り上げました。
発災後、保護者の迎えが来るまで、あるいは避難所へ移動するまでの「空白の時間」をどう守るのか。現場のマニュアルや備蓄の実態に切り込みました。
現状の備蓄ルールと見えてきた課題
現在、これらの施設では独自の「業務継続計画(BCP)」やマニュアルに基づき備蓄が進められています。しかし、調査を進めるといくつかの不安な点が浮かび上がってきました。
- 品目・数量の不透明さ: 計画書に詳細な備蓄品目が記載されていないケースが多い。
- 「職員用」のみの懸念: 備蓄量が少なく、利用者の分まで想定されていない可能性がある。
- 携帯トイレの配備状況: こども文化センターには今年度配備されたが、老人いこいの家には市からの配備がない。
こども文化センター:帰宅困難な児童への備え

発災から保護者の迎えまでには一定時間を要することが想定されます。現在、携帯トイレの配備は進んでいますが、その間の利用児童の安全確保という観点から、食料や飲料水についても一定の備えが必要ではないか、見解を伺いました。
答弁を確認する
市は、携帯トイレについては迅速に使用できる環境を整えるため今年度備蓄を行ったと説明。一方で食料については、保護者の迎えがあるまでの間「おやつ等の活用により対応するよう努める」とのマニュアルを示しました。また、避難が長期化することが明らかな場合は、備蓄のある近くの指定避難所等へ誘導していくと答弁しました。
高戸の視点
おやつでの対応は現実的?
わくわくプラザと異なり、こども文化センターでは日常的におやつを配布しているわけではありません。そのような環境で「おやつ等で対応する」というマニュアルの考え方だけで、本当に児童の安全が守れるのか、飲料水の備えも不明確である点を厳しく指摘しました。
老人いこいの家:トイレ対策の遅れに警鐘
老人いこいの家については、備蓄の品目や数量は各指定管理者に委ねられており、市としての統一的な配備(携帯トイレ等)は行われていません。
全庁的な「災害時トイレ対策検討会議」にも健康福祉局が関与していないという現状をふまえ、高齢者が長時間滞在するリスクを重く見るべきだと訴えました。

大規模災害時には帰宅困難者が発生する可能性があり、高齢者が一定期間施設に滞在することも想定されます。指定管理者任せにするのではなく、市としてトイレ対策や備蓄品の整備を行うべきではないか、見解を伺いました。
答弁を確認する
市は、指定管理者において独自に災害用トイレの備蓄に取り組んでいると回答。避難が長期化することが明らかな場合は、近くの指定避難所へ誘導するなどの対応を基本とし、今後も指定管理者と協議・調整を続けていくと答弁しました。
高戸の視点
全庁的な対策へのエントリーを
現在、川崎市全体で進められている「災害時のトイレ対策検討会議」に、高齢者施策を担う健康福祉局がエントリーしていないことは大きな課題です。数量管理を含め事業者任せにするのではなく、市が責任を持って高齢者の安全を担保するよう強く要望しました。
指定管理制度と備蓄コストの考え方

こども文化センターも老人いこいの家も、5年ごとに運営法人が変わる可能性がある「指定管理者制度」で運営されています。
課題と主張
- コスト負担: 賞味期限管理を伴う備蓄費用は、明確に「指定管理料」に計上すべき。
- 市の責任: 備蓄を事業者努力に委ねるのではなく、市が責任を持って数量を確認すべき。
- 備品配備: 携帯トイレのように、市が全施設へ一括配備することも検討すべき。
善意や工夫に頼らない「命を守る制度」へ
今回、市から携帯トイレが配備された事実は、裏を返せば「これまでの備えが不十分だった」ことを示しています。
「指定管理料に含まれている」と答弁するのであれば、市は各施設が具体的に何を何日分備蓄しているのか、責任を持って確認・公表すべきです。災害時の備えを事業者任せにせず、市民の命を預かる公的施設として、実効性のある対策を講じるよう強く要望しました。
【メディア報道】災害備蓄の課題が新聞で取り上げられました
この予算審査特別委員会での質疑を受け、神奈川新聞(2026年4月3日付)において、災害時の備えの課題が報じられました 。記事では、指摘した内容が詳しく紹介されています。




