【川崎市】救急救助活動における「建物等による事故」の急増と今後の高齢化対策に向けて

年々増加する救助隊の出動件数と、その中で大きな割合を占める「建物等による事故」の実態、臨場する救助活動の現場における課題、そして今後の高齢化の進行を見据えた関係局間の連携強化のあり方について質疑を行いました。
現在、常備消防費(救急救助活動事業費)は毎年右肩上がりに増加していますが、その背景には単身高齢者世帯の増加に伴う安否確認や孤立といった深い社会課題が関わっています。この課題を解決するための提案をまとめました。
常備消防費(救急救助活動事業費)
市民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、迅速かつ的確な救急救助体制を維持・強化するための経費です。来年度予算として1億8790万円余が計上され、近年の出動件数の急増に伴い、予算額は毎年右肩上がりとなっています。
関連:川崎市消防局・川崎市公式サイト課題・問題点と提案内容

質疑を通じて明らかになった主な課題は以下の通りです。
- 「建物等による事故」の突出:救助隊の火災以外の出動件数のうち、約47パーセントを「建物等による事故」が占めており、救助活動において最大の割合を占めています。
- 10年間で約2.6倍への急増:水難事故や交通事故による出動が横ばい、または減少傾向にある一方、「建物等による事故」は10年前の297件から令和5年には792件へと大幅に増加しています。
- 単身高齢者世帯の増加と孤立死の社会課題:出動増加の背景には高齢者の単身世帯からの要請があり、実質的な安否確認や孤立死への対応が多発しています。今後のさらなる高齢化を見据え、消防局単体ではなく健康福祉局など関係局との横断的な連携強化が不可欠です。
「建物等による事故」の主な内容と割合について

本市の「建物等による事故」の主な内容と、令和5年中における火災以外の救助活動全体の出動件数に占める割合はどのような状況か。
答弁を確認する
主な内容としては、意識障害等により建物内で身動きがとれず、ドアに鍵がかかっているため室内に入れないものなどの、建物等内に閉じ込められる事故である。火災以外の出場件数における割合は、約47パーセントとなっている。
過去10年間の活動状況と急増の要因分析について

過去10年間で「建物等による事故」が297件から792件へと約2.6倍に大幅増加している。この要因についてどのように分析しているか。
答弁を確認する
件数の増加につきましては、高齢者の単身世帯への出場要請が増加していることも、ひとつの要因であると考えているところである。
今後の高齢化進行を見据えた各局との連携について

今後、本市でもさらなる高齢化(令和22年には高齢化率28.3%予測)が見込まれ、出動のさらなる増加が予想される。関係局等との連携強化に対する見解と対応はどうか。
答弁を確認する
全国的な傾向として高齢化率の上昇に伴い「建物等による事故」は増加しており、本市においてもさらに増加するものと考えている。関係局等との連携をより一層強めていくことは重要であると認識しており、今後も出場体制を確保し各種災害に的確に対応できるよう努めていく。
要点まとめ
- 出動件数の突出: 火災以外の救助出動のうち、約47%が「建物等による事故」(屋内への閉じ込めや安否確認等)で占められている。
- 10年で2.6倍に急増: 交通事故などが減少する中、建物内事故は297件から792件へ急激に増加しており、救助隊の負担が増している。
- 単身高齢者世帯が主因: 増加の背景には高齢単身世帯の増加があり、社会課題である孤独死・孤立死対策とも直結している。
- 局横断的な連携の必要性: 消防局内だけの対応には限界があるため、健康福祉局を中心とした抜本的な解決策・孤立防止対策の充実を要望。
まとめ
救助隊の出動件数において、屋内での身動きの不通や安否確認を含む「建物等による事故」が半数近くを占め、10年間で約2.6倍にまで急増している現状は極めて深刻です。これは単なる消防・救助の課題ではなく、地域社会における高齢者の孤立や単身世帯の増加という、都市構造および福祉の大きな課題を映し出しています。
今後の予測では本市の高齢化率はさらに上昇を続け、何もしなければ現場の救助体制が逼迫していくことは火を見るより明らかです。消防局からは連携の重要性を認める答弁を得ましたが、これを契機に、健康福祉局をはじめとする関係各局がこれまでの枠組みを超えて横断的に連携し、孤独死・孤立死の未然防止に向けた見守りネットワークの再構築や早期発見の仕組み作りへ取り組むよう、引き続き強く働きかけてまいります。
詳しく知りたい!
関連ページ・資料一覧
川崎市消防年報
本市の災害・救急・救助活動の推移や詳細な統計データがまとめられています。今回の「建物等による事故」の推移グラフなどの基礎データもこちらに収録されています。
総務省消防庁:消防白書
全国的な救助活動の動向や、「建物等による事故」の増加傾向など、日本全体の消防・救助に関する現状と課題が整理されている資料です。
制度のことや、お悩み事がございましたら、
公式LINEにてお気軽に高戸ともこまでお問い合わせください!



